一度でも俺の話を聞いたことがあるのか/イ・ミンホ主演「相続者たち」
「あなたが言ったのよ」と言われカッとなったタンはウンサンの腕を掴んで引き止め叫んだー小説翻訳2巻7章11
小説 임메아리
翻訳 shiho
ウンサンは疲れた様子で家に向かって歩いた。
そして家が近づいた時ふいに足を止めてしまった。
門の前にしょんぼり立っている誰かのシルエットが見えたから。
傷だらけの顔で、腕には包帯まで巻いて、タンがそこに立っていた。
自分のせいでタンがこんなにけがをしたんだとウンサンは複雑な気持ちになった。
「どうしてこんなに遅くなったんだ。俺は怪我したのに」
ウンサンは黙ってタンを見た。
「理事長に怒られた。処分を下すって言われたけど、退学はないよな?
最終学歴が中卒になっていい男じゃないんだ、俺は」
その言葉を聞くとウンサンの胸は更に痛んだ。
退学を言い渡されることはない筈という僅かな望みを持ち、わざと何でもないかのように冗談を言っているタンの心の内が分かってしまったからだ。
ウンサンがタンに向けた視線を収めた。
「もう行くわ」
「そりゃないよ。どれくらい待っていたと思うんだ」
「止めないで。それにこれからも私を待たないで」
「おいっ! 」
タンは去ろうとしたウンサンの腕をつかんで振り向かせた。
「ちょっとやめてよ。あなたとここで押し問答したくないのよ」
ウンサンがCCTVの方をそっと見た。
「あのCCTVめ、なんだよ ! 」
「あなたが教えたんじゃない」
「俺が教えた事や警告した事に、お前は一つでも耳を傾けたことがあるのか?」
タンがウンサンの腕を握ったままでかっと大声を上げた。
その時門の前に車が一台滑りこんできて停まった。ウォンの車だ。
ウンサンがびっくりしてタンから離れた。
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